宗教法人の不動産売却について


いつもブログをご覧頂き有難うございます。
宗教法人が所有する不動産の売却は、一般の不動産売却とは大きく異なります。
手続きは複雑で、法令の制約も多く、事前準備を誤ると売却が進まないことも珍しくありません。
私、TSUBASAエステートの松本良教は、これまで宗教法人が所有する寺院・境内地・信者寮・墓地・旧会館・社務所など、「宗教法人特有の不動産売却」に多数携わってきました。
本記事では、宗教法人不動産の売却方法・手続き・内部決議・登記・契約の注意点を、経験者として徹底解説します。
- 1. 宗教法人の不動産売却について
- 2. ① 名義(登記簿)の確認
- 3. ② 宗教法人内部の意思決定(議事録・承認手続き)
- 4. ③ 所轄庁(県・文化庁)のチェックが必要な場合がある
- 5. ④ 地目や用途が特殊なケースが多い
- 6. STEP1:初回相談(状況ヒアリング)
- 7. STEP2:現地の調査(境界・地目・用途)
- 8. STEP3:内部手続き(責任役員会)
- 9. STEP4:所轄庁への届出・承認
- 10. STEP5:売買契約(宗教法人としての適正契約)
- 11. STEP6:登記(所有権移転)
- 12. 事例①:旧寺院の老朽化した土地建物の売却
- 13. 事例②:信者寮として使われていた建物の売却
- 14. ① 投資家向けの売却を検討する
- 15. ② 分筆(境内地・墓地を分ける)戦略
- 16. ③ 契約・手続きを厳格に進める(トラブル回避)
- 17. Q1:宗教法人でも不動産を売却できますか?
- 18. Q2:墓地が含まれる土地は売却できますか?
- 19. Q3:役員会議事録は必要ですか?
- 20. Q4:所轄庁の承認は必ず必要ですか?
- 21. Q5:誰に相談すればよいですか?
- 22. 契約書作成で注意すべきポイント(宗教法人特有の項目)
- 23. 契約書の具体例(宗教法人専用の記載方式)
- 23.1. 契約条項サンプル(宗教法人不動産用)
- 23.1.1. (1)売主の表示
- 23.1.2. (2)代表権および決議の確認条項【必須】
- 23.1.3. (3)所轄庁承認条項【必要な場合】
- 23.1.4. (4)引渡し条項(残置物・廃寺関連)
- 23.1.5. (5)契約不適合責任(宗教法人向け)
- 23.1.6. (6)違約金条項
- 23.2. 契約書で必ず確認すべき項目
- 24. 登記の流れ(宗教法人の不動産売却で必要な登記)
- 24.1. 所有権移転登記に必要な書類
- 25. 議事録のサンプル(責任役員会:財産処分議案)
- 25.1. 責任役員会議事録(サンプル)
- 25.2. 出席責任役員(○名/総数○名)
- 25.3. 議題:所有不動産(境内地・旧信者寮)の売却について
- 26. 所轄庁への申請・承認手続きの実務(現場で本当に起きること)
- 26.1. 所轄庁が確認する主なポイント
- 26.2. 所轄庁提出書類のひな形(売却承認申請用)
- 26.2.1. 所轄庁提出書類セット(ひな形)
- 27. 信者・檀家への説明と合意形成(ここを誤るとトラブルになる)
- 27.1. 信者説明を行う際のポイント
- 28. 境内地や墓地がある場合の特別な対応
- 28.1. 墓地がある場合の対応方法
- 28.2. 墓地移転の手続き詳細(法律+実務の流れ)
- 28.2.1. 墓地移転の全手順(実務版)
- 28.2.1.1. STEP1:移転の必要性の判断
- 28.2.1.2. STEP2:遺骨の使用者(契約者)へ個別説明
- 28.2.1.3. STEP3:行政(市町村)へ移転申請
- 28.2.1.4. STEP4:行政による審査
- 28.2.1.5. STEP5:移転許可
- 28.2.1.6. STEP6:遺骨の掘り上げ・新墓地への納骨
- 28.2.1.7. STEP7:旧墓地の閉鎖手続き
- 29. 宗教法人が不動産売却で損をしないためのポイント
- 29.1. 損を避けるための重要ポイント
- 30. 宗教法人別(寺院・神社・教会)の売却の違い
- 30.1. 寺院(仏教系)
- 30.2. 神社(神道系)
- 30.3. 教会(キリスト教系)
- 31. 松本良教が語る「宗教法人不動産に向き合う姿勢」
- 32. まとめ──宗教法人の不動産売却は専門性がすべて
宗教法人が所有する不動産売却は「一般とまったく別物」
宗教法人の不動産売却は、通常の売却とは全く違います。
最も大きな理由は 宗教法人法 による制限と、法人内部の手続きが厳格である点です。
宗教法人の売却は次の要素で難易度が上がります。
- 組織の意思決定が複雑
- 財産処分に宗教法人法の規制がある
- 境内地など「用途制限」のある土地も多い
- 名義が旧役員のままで登記変更が必要
- 所轄庁への届出や許可が必要なケースがある
特に寺院・神社などは歴史的経緯から、
土地の境界や地目が複雑なまま残されていることもあります。
私松本が担当した案件でも、
「登記名義が先代の住職のまま30年以上未変更」
というケースも珍しくありません。
宗教法人不動産の売却でまず確認すべき重要ポイント
宗教法人が所有する不動産を売却する際は、
以下の項目を初期段階で必ず確認する必要があります。
① 名義(登記簿)の確認
まず最初に行うべきは 登記名義の確認 です。
宗教法人の場合、
前任の代表役員の名義が残ったまま数十年放置されていることがあります。
名義が古いままでは売却手続きに入れないため、
代表役員の変更登記 → 所有権移転(売却)登記
という手順が必要になります。
② 宗教法人内部の意思決定(議事録・承認手続き)
宗教法人の財産処分は、
法人内部での「正式な議決」が絶対に必要です。
宗教法人法第23条には、
重要財産の処分には責任役員会の議決が必要
と明記されています。
必要書類の例:
- 責任役員会議事録
- 財産目録
- 処分理由書
- 規則変更が必要な場合の資料
- 所轄庁への届出・承認書類
特に責任役員会の開催は、
- 公募
- 招集通知
- 議事の記録
- 過半数の賛成
など厳格なルールがあるため、専門家のサポートが不可欠です。
③ 所轄庁(県・文化庁)のチェックが必要な場合がある
宗教法人の不動産処分は、
場合によっては「所轄庁(知事や文化庁)」の承認が必要です。
特に以下の場合は注意が必要:
- 境内地の処分
- 墓地の移転・廃止
- 建物の用途変更
- 大規模な財産処分
所轄庁は宗教法人の財産を守るため、
厳しい目で「処分の妥当性」をチェックします。
④ 地目や用途が特殊なケースが多い
宗教法人の土地は「地目」が複雑なことがあります。
- 境内地
- 墓地
- 雑種地
- 非課税地
- 宅地(だが寺院共有地)
- 田・畑(農地法の許可が必要)
地目が「墓地」の場合は、
一般売却が不可能なケースもあるため、
私は必ず初回調査で地目を確認します。
宗教法人不動産の売却手続きの流れ(松本が担当する場合)
ここからは、私松本が実際に現場で行っている
宗教法人の売却手続きの標準フロー を詳しく説明します。
STEP1:初回相談(状況ヒアリング)
宗教法人の事情により次の内容を丁寧に確認します。
- 売却の目的(資金確保?維持困難?移転?)
- 代表役員の現状
- 名義や登記の問題
- 宗教法人内部の組織状況
- 財産処分の規則
- 不動産の現況
- 信者・檀家との関係
- 所轄庁への届出有無
宗教法人の売却は「事情の把握」こそ最重視されるため、
私は初回ヒアリングに2時間以上かけることもあります。
STEP2:現地の調査(境界・地目・用途)
宗教法人の不動産は、
長年の歴史により境界が曖昧だったり地目が特殊な場合があります。
松本が現地調査で確認する内容は以下の通り:
- 地積・地目
- 墓地・境内地の有無
- 私道負担
- 境界の確定状況
- 建物の老朽化状態
- 文化財指定の有無
- 近隣との位置関係
- 信者・檀家の使用状況
墓地がある場合は、
墓地埋葬法 との関係も出てくるため、専門対応が必須です。
STEP3:内部手続き(責任役員会)
宗教法人の売却で最も重要なのがこのステップです。
責任役員会では、
- 財産処分の必要性
- 売却条件
- 買い手の妥当性
- 売却後の寺院運営への影響
- 信者への説明
などが審議されます。
その際に必要な書類は以下:
- 議事録
- 売却理由書
- 財産目録の更新
- 売却対象の図面
- 契約内容案
私は議事録作成のサポートも行っており、
書式や文言のアドバイスも実務で行っています。
STEP4:所轄庁への届出・承認
売却の内容によっては、都道府県や文化庁へ報告・承認が必要です。
申請に必要な書類例:
- 申請書
- 議事録
- 財産目録
- 売却案内書
- 見積書
- 売買契約書案
承認までに 2〜6ヶ月 かかるため、
専門家と“逆算”してスケジュールを組むことが重要です。
STEP5:売買契約(宗教法人としての適正契約)
宗教法人の契約は、一般不動産より慎重に作成します。
特に注意すべき点は、
- 契約権限の確認
- 認証印鑑の使用
- 議事録の添付
- 所轄庁承認の添付
- 信者・檀家への影響を明確化
- 契約不適合責任の範囲
宗教法人は“法人としての責任”が重いため、
契約内容を慎重に仕上げます。
STEP6:登記(所有権移転)
必要書類:
- 法人代表者の資格証明書
- 総代・役員の一覧
- 宗教法人の規則
- 売買契約書
- 委任状
- 議事録
登記完了後、売却代金が支払われ、売却は完了します。
松本が実際に担当した宗教法人売却の実例(匿名)
宗教法人の売却にはトラブルの種が非常に多いため、
経験が大きく物を言います。
ここでは実際に私が解決した事例を紹介します。
事例①:旧寺院の老朽化した土地建物の売却
- 境内地・墓地が混在
- 名義が旧住職のまま
- 檀家の反対も懸念
- 私道の境界トラブルあり
松本が行った解決:
- 墓地部分だけを宗教法人名義で残し、境内地を分筆
- 代表役員変更登記を実施
- 近隣の位置関係を調整
- 境界確定を行政書士と連携
- 結果:2億4,000万円で売却成功
事例②:信者寮として使われていた建物の売却
- 大規模修繕が必要
- 財務上の資金不足
- 所轄庁へ承認申請が必要
松本:
- 財産処分の理由書作成をサポート
- 信者説明会の資料も作成
- 承認は3ヶ月で取得
- 投資家向けに販売して 満額売却
宗教法人が損をしない売却戦略(松本が推奨する方法)
宗教法人の売却には「売り方」が極めて重要です。
① 投資家向けの売却を検討する
宗教法人の不動産は、
- 立地が良い
- 土地が広い
- 歴史がある
ため、投資家の需要が非常に高いです。
② 分筆(境内地・墓地を分ける)戦略
墓地がある場合、
- 墓地部分を除外する
- 建物を取り壊す
- 土地を分けて売る
など柔軟な方法で価値を上げることができます。
③ 契約・手続きを厳格に進める(トラブル回避)
宗教法人は「責任」が大きいため、
契約内容を曖昧にしてはいけません。
宗教法人の不動産売却でよくある質問(FAQ)
Q1:宗教法人でも不動産を売却できますか?
→ はい。法律上問題ありません。ただし内部手続きが厳格です。
Q2:墓地が含まれる土地は売却できますか?
→ 墓地部分は売却できないケースが多いです。分筆などの方法が必要です。
Q3:役員会議事録は必要ですか?
→ 必須です。議決なしでは売却は進みません。
Q4:所轄庁の承認は必ず必要ですか?
→ 売却内容によります。境内地・墓地は必要です。
Q5:誰に相談すればよいですか?
→ 宗教法人の売却経験がある専門家を選ぶことが絶対条件です。
松本良教からのメッセージ──宗教法人不動産は“専門家と組む”ことが成功の鍵
宗教法人不動産の売却は、
普通の不動産売却とはまったく違う難易度です。
しかし──
私は数多くの宗教法人不動産をサポートしてきた経験から、
必ず言えることがあります。
宗教法人の不動産売却は、正しい知識と正しい手順があれば必ず成功します。
複雑な内部手続きも、所轄庁への対応も、すべて私がサポートします。
まずはお気軽にご相談ください。
契約書作成で注意すべきポイント(宗教法人特有の項目)
宗教法人の不動産売却における売買契約書は、
一般的な契約書と似ているようで、大きな違いがあります。
代表者の権限・内部決議・所轄庁承認など、
宗教法人ならではの項目を正確に盛り込む必要があります。
契約書の具体例(宗教法人専用の記載方式)
宗教法人の契約書は、一般の売買契約と同じ部分もありますが、
最大の違いは 内部手続きの証明 と 代表権の証明 が必須であることです。
以下に、実際の契約書で使用される条項例を記載します。
(実務で使えるレベルに仕上げています)
契約条項サンプル(宗教法人不動産用)
(1)売主の表示
売主:宗教法人〇〇寺
代表役員:山田〇〇
所在地:〇〇県〇〇市〇丁目〇番地
※「代表役員」であることが重要。住職名義だと無効。
(2)代表権および決議の確認条項【必須】
第●条(代表権・内部決議)
売主は、宗教法人法第23条に基づき、本件不動産の処分について責任役員会の議決を経ており、
代表役員として本契約を締結する権限を有することを保証する。
添付書類:
- 責任役員会議事録
- 代表役員資格証明書
- 財産目録(該当財産の記載部分)
(3)所轄庁承認条項【必要な場合】
第●条(所轄庁の承認)
本件不動産が宗教法人法第24条に規定する「重要財産」に該当する場合、
売主は所轄庁の承認を得たうえで本契約を履行するものとする。
承認未了の場合、本契約の効力は停止される。
(4)引渡し条項(残置物・廃寺関連)
第●条(引渡し)
- 本件建物内に残置されている宗教用具・什器等は、売主の責任において撤去する。
- 墓地・祭祀用物品が存在する場合、墓地埋葬法その他関係法令に基づき適法に処理するものとする。
(5)契約不適合責任(宗教法人向け)
第●条(契約不適合責任)
売主の契約不適合責任は、隠れた瑕疵を除き免責とする。
ただし、境内地・墓地等の用途制限に関する事項は、売主が説明する責任を負う。
(6)違約金条項
宗教法人は内部手続きが重いため、
契約後の「履行遅延」が多い。
そのため実務では以下を入れる。
第●条(違約金)
売主側の責めに帰すべき事由により契約が履行されない場合、
売主は買主に対し売買代金の○%を違約金として支払う。
契約書で必ず確認すべき項目
- 宗教法人代表役員の「資格証明書」の添付
- 財産処分の議決があったことを証明する議事録
- 所轄庁承認(必要な場合)
- 物件が境内地・墓地でないかの確認
- 契約不適合責任の範囲(一般より狭く設計する)
- 信者・檀家への説明責任をどう扱うか
- 引渡し条件(残置物や廃寺手続きの扱い)
宗教法人は一般法人よりも“意思決定権限”が厳格なため、
契約段階で権限違いが発覚すると売却が無効になる可能性すらあります。
松本が担当したケースでも、
代表役員印と法人印が不一致で契約がやり直しになる寸前だった
という事例がありました。
記載内容のチェックは、宗教法人に詳しい担当者と進めることが必須です。
登記の流れ(宗教法人の不動産売却で必要な登記)
宗教法人の不動産を売却する場合、
売却手続きの最終段階で 所有権移転登記 を行います。
しかし宗教法人は一般の法人と違い、
登記のために必要な書類が多く、取得にも時間がかかります。
所有権移転登記に必要な書類
- 宗教法人の現在事項全部証明書
- 代表役員の資格証明書
- 責任役員会の議事録(財産処分承認)
- 所轄庁による承認書または届出受理通知
- 委任状
- 売買契約書の原本
これらを揃えるためには、
内部の準備だけで 1〜3ヶ月 かかることがあります。
松本が過去に対応した案件では、
- 名義が旧代表のまま20年間未変更
- 在籍していた責任役員がすべて変更され、議事録が古く無効
- 規則の改正が必要で、所轄庁と協議が必要
など、登記までに複雑な準備が必要なケースもありました。
議事録のサンプル(責任役員会:財産処分議案)
以下は、実務用として作られる形式に基づく雛形です。
責任役員会議事録(サンプル)
宗教法人名:宗教法人〇〇寺
開催日時:令和〇年〇月〇日 〇時〇分
開催場所:〇〇寺 本堂
出席責任役員(○名/総数○名)
- 責任役員 山田〇〇
- 責任役員 佐藤〇〇
- 責任役員 高橋〇〇
※過半数出席を満たすこと
議題:所有不動産(境内地・旧信者寮)の売却について
議長より、以下の説明があった。
- 当該不動産は老朽化が進み、維持管理が困難であること
- 宗教活動の継続に際し、売却が必要であること
- 売却予定価格(●●円)
- 買主候補者
- 売買契約書案の概要
- 売却後の資金用途(本堂修繕費・事務所移転費等)
この説明に基づき審議を行い、
全会一致で売却を承認した。
議長:山田〇〇
署名責任役員:佐藤〇〇
署名責任役員:高橋〇〇
議事録の重要ポイント:
- 過半数出席 → 過半数賛成
- 「売却理由」が必ず明記されている
- 「価格」や「買主候補」が示されている
- 「売却後の資金用途」もあれば信頼性が上がる
所轄庁が真っ先に見るポイントでもあるため、精度が非常に重要です。
所轄庁への申請・承認手続きの実務(現場で本当に起きること)
宗教法人の財産処分で最も難しいのが、
所轄庁(都道府県または文化庁)への申請・承認 です。
申請に必要な資料は非常に多く、
書類内容も細かくチェックされます。
所轄庁が確認する主なポイント
- 売却理由が妥当か
- 宗教活動に支障がないか
- 財産処分が信者や檀家へ不利益を与えないか
- 売却価格が適正か
- 売却後の資金用途が明確か
- 境内地・墓地の扱いに問題がないか
特に“売却理由の説明”は重要で、
松本が作成を手伝う「理由書」は、以下を必ず明記します。
- 建物の老朽化
- 信者の減少
- 維持困難な運営状況
- 移転・集約の必要性
- 財務改善のため
こうした理由が明確でないと、
所轄庁は厳しく審査し、承認が遅れることがあります。
所轄庁提出書類のひな形(売却承認申請用)
所轄庁へ提出する書類は複雑ですが、
書類構成は基本的に以下のようになります。
所轄庁提出書類セット(ひな形)
- 申請書(様式第○号)
宗教法人〇〇寺
代表役員 山田〇〇
所在地:……
申請内容:不動産処分承認申請 - 処分理由書
・建物老朽化
・維持管理の困難
・宗教活動に支障が生じている
・移転・再建計画のため - 責任役員会議事録
- 財産目録(現況と処分後)
- 不動産登記簿謄本
- 公図・測量図
- 売買契約書案
- 見積書(複数社)
- 境内地・墓地の該非に関する説明書
- 信者・檀家への説明資料(必要な場合)
所轄庁が特に重視する書類は
理由書・議事録・価格資料 の3つ。
ここが曖昧だと、承認が数ヶ月遅れることもあります。
信者・檀家への説明と合意形成(ここを誤るとトラブルになる)
宗教法人の売却は、
多くの場合、信者・檀家の存在を無視できません。
不動産売却が「宗教法人の運営」や「信仰の場」に関わる場合、
檀家総代や信者代表との話し合いが必要になります。
信者説明を行う際のポイント
- 売却の理由を丁寧かつ透明性をもって説明する
- 売却後の宗教活動に影響がないことを明確にする
- 移転先や今後の活動方針を提示する
- 反対意見があった場合の対応を事前に決めておく
松本は、
「信者説明会の資料作成」
「質疑応答の内容シミュレーション」
までサポートすることがあります。
宗教法人は、人間関係や歴史が複雑に絡み合うため、
売却の説明は専門的かつ慎重に行う必要があります。
境内地や墓地がある場合の特別な対応
宗教法人不動産で最も難しいのは、
境内地や墓地が含まれているケースです。
墓地は 法律上の制限 が強いため、
通常の不動産のようには売却できません。
墓地がある場合の対応方法
- 墓地部分だけを残して分筆
- 境内地と墓地の用途変更
- 認可を得た墓地移転手続き
- 信者・檀家の同意取得
- 使用者(墓地契約者)への説明
墓地が絡むと、
売却が「半年〜1年以上」かかることも珍しくありません。
松本が担当した案件でも、
墓地部分の移転に1年、所轄庁との協議に6ヶ月、
という非常に長期間のプロジェクトがありました。
しかし適切に手続きを踏めば、
境内地のみの売却や、一部の土地活用は十分可能です。
墓地移転の手続き詳細(法律+実務の流れ)
墓地の移転は宗教法人不動産の中で最も難易度が高い手続きです。
墓地埋葬法により厳格に制限されており、
不適切な移転や説明は大きなトラブルにつながります。
墓地移転の全手順(実務版)
STEP1:移転の必要性の判断
- 土地の売却
- 老朽化
- 土地活用のため
- 宗教活動の集約
STEP2:遺骨の使用者(契約者)へ個別説明
- 書面通知
- 説明会
- 賛否の意見調整
※ここが最も重要で時間のかかるパート
STEP3:行政(市町村)へ移転申請
必要書類:
- 墓地移転計画書
- 使用者リスト
- 新墓地の構造・図面
- 現墓地の現況図
- 使用許可証
- 管理者の同意書
STEP4:行政による審査
審査内容:
- 衛生面
- 新墓地の安全性
- 使用者同意の状況
- 宗教法人内部手続きの適法性
- 苦情・反対意見の有無
STEP5:移転許可
許可が下りると、遺骨の移転が法的に可能になります。
STEP6:遺骨の掘り上げ・新墓地への納骨
宗教法人は儀式を行いながら進めるケースが多く、
作法や宗派ごとの違いも考慮する必要があります。
STEP7:旧墓地の閉鎖手続き
- 墓標撤去
- 墓地埋葬法に基づく届出
- 更地化(必要であれば)
墓地の移転には6ヶ月〜2年かかる場合もあり、
不動産売却と連動している場合はスケジュール管理が命となります。
宗教法人が不動産売却で損をしないためのポイント
売却の成否を左右するのは、
外部の専門家を“いつ”引き入れるか によって変わります。
松本が推奨するポイントは次の通りです。
損を避けるための重要ポイント
- 初期段階で専門家に相談する
- 内部手続きのルールを正確に理解する
- 売却価格の適正性を第三者に確認してもらう
- 投資家・一般両方へアプローチできる担当者を選ぶ
- 所轄庁承認のスケジュールを綿密に立てる
宗教法人の不動産売却は、
価格だけでなく 「信頼」 と 「歴史」 を守る必要があります。
そのため、
売却は慎重かつ丁寧に進めることが不可欠です。
宗教法人別(寺院・神社・教会)の売却の違い
宗教法人と一口で言っても、宗派・宗教によって
内部手続きや意思決定の仕組みが全く異なります。
以下は実務で明確に違うポイントです。
寺院(仏教系)
- 責任役員会が実質的な決定機関
- 檀家との関係が深く、理解と合意が必要
- 境内地・墓地が多い
- 歴史的地役権があるケースが多い
- 代表役員=住職とは限らない(規則次第)
寺院は人間関係の調整が最も難しい傾向があります。
神社(神道系)
- 宮司の権限が強い
- 氏子総代に説明が必要
- 境内地としての扱いが厳格
- 歴史的祭祀施設があり移転困難
神社は土地が広いケースが多いため、
部分売却・分筆がよく行われます。
教会(キリスト教系)
- 役員会(教会委員会)の合意が重要
- 所轄庁承認は宗派によって異なる
- 広い敷地を保有しているが墓地は少ない
- 売却後の移転が比較的容易
教会は比較的意思決定がスムーズです。
松本良教が語る「宗教法人不動産に向き合う姿勢」
私はこれまで、数多くの宗教法人の不動産売却に関わってきました。
宗教法人の売却は、
単なる“物件の売却”ではありません。
- 歴史
- 信仰
- 地域とのつながり
- 信者との関係
- 法律
- 内部手続き
- 財務状況
これらすべてを理解して進める必要があります。
私は必ずこう考えています。
不動産を売ることが目的ではなく、
その宗教法人が「これからどう歩むか」を一緒に考える仕事。
これが、宗教法人不動産に関わる専門家の責任です。
まとめ──宗教法人の不動産売却は専門性がすべて
宗教法人の不動産売却は、
普通の不動産売却とは全く異なる世界です。
- 内部手続き
- 所轄庁承認
- 境内地・墓地
- 代表者変更登記
- 規則変更
- 歴史的背景の考慮
- 信者・檀家対応
これらを正しく理解しなければ、
売却は一歩も進みません。
宗教法人不動産の売却を考えている方へ、松本はこう伝えています。
「宗教法人の売却は難しくありません。
正しい知識と適切な手順があれば、必ず成功できます。
私が責任を持ってサポートします。」
担当/松本 良教

役職:営業主任
Yoshinori Matsumoto
不動産のご購入・ご売却は、お客様の人生において大きな決断の一つ。
だからこそ、私は「安心して任せられる存在」でありたいと常に考えています。
これまで数多くのお客様と向き合い、「買ってよかった」「売ってよかった」と笑顔で言っていただけるよう、誠実かつ丁寧な対応を心がけてきました。不動産に関することなら、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。
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