離婚後も子どもと 今の家に住み続けたい女性へ
住宅ローン・名義・生活費をどう考える?
「子どもの学校を変えたくない」
「できれば今の家で生活を続けたい」
「でも家は夫名義で、住宅ローンも夫が借りている」。
離婚後の住まいを考えるときは、
家への思いだけでなく、
所有名義・住宅ローン・家計・養育費・財産分与を
一つずつ分けて確認する必要があります。
TSUBASAエステート営業本部長・村上諒恭が、
不動産売買の立場から順番に整理します。
なぜ「離婚後の住まい」は女性にとって大きな悩みになりやすい?
すべての女性に同じ事情があるわけではありません。
ただし、 離婚後に母子世帯となるケースについて公的統計を見ると、 「住まいだけ」ではなく 収入・仕事・養育費・子育てが同時に関係することが分かります。
出典:こども家庭庁 「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」。 収入については令和2年中の収入。 これらは母子世帯全体の統計であり、 個々の離婚予定者の将来を示すものではありません。
この数字を見ると、 「今の家を残せるか」という問題を考えるときに、 不動産価格だけを見ればよいわけではないことが分かります。
住宅ローンを毎月払えるのか。 固定資産税や管理費を負担できるのか。 教育費や生活費との両立は可能か。 養育費をどこまで家計に織り込むのか。
こうした数字を確認して初めて、 「今の家に住み続ける」という希望が 長期的に成立するかを考えられます。
離婚後も妻と子どもが今の家に住み続けることはできる?
離婚後に妻と子どもが現在の住宅に住み続ける形には、 いくつかのパターンがあります。
| 住み方 | 主な確認事項 |
|---|---|
| 夫名義のまま妻子が居住 | 住宅ローンの返済者、将来の売却、 固定資産税、夫が返済できなくなった場合のリスク |
| 妻が不動産を取得 | 財産分与、所有権移転、 住宅ローンの借換え・債務引受、 金融機関の審査 |
| 一定期間だけ妻子が居住 | いつまで住むか、 その間のローン・維持費、 将来の売却時期 |
| 家を売却して住み替え | 売却価格、ローン完済、 売却後の手残り、新しい住居費 |
最初に確認するのは「誰の家か」と「誰のローンか」
離婚後の住まいを考えるとき、 最初に登記上の所有者を確認してください。
次に住宅ローンの契約者を確認します。
この2つは同じとは限りません。
「夫名義の家だけれど、 離婚後は妻が住む」という形と、 「妻が家の所有権も取得する」という形は別です。
さらに、 所有権を妻へ移したとしても、 夫の住宅ローンが自動的に妻へ移るわけではありません。
夫名義の住宅ローンを払いながら、妻と子どもが住み続ける場合
この形を考える場合、 「毎月払えているから大丈夫」とだけ考えないことが重要です。
ローンを払っているのは誰か
夫が債務者のまま返済を続け、 妻と子どもが居住する形なら、 夫の返済状況がその住宅の今後に影響します。
夫婦間で 「離婚後も夫がローンを支払う」 と約束していても、 金融機関との契約はその合意とは別です。
将来売却したくなったとき誰の協力が必要か
所有名義が夫のままであれば、 妻が住んでいるからという理由だけで 妻が単独で家全体を売却できるわけではありません。
返済が止まった場合まで考える
離婚時点では返済できていても、 数年後の収入や生活状況まで確定しているわけではありません。
「子どもが卒業するまで住む」と決めるのであれば、 それまでのローン返済、 固定資産税、 マンションなら管理費・修繕積立金などを 誰が負担するかも整理してください。
妻が家を取得して住み続けるなら「ローンを払えるか」まで確認する
財産分与などにより、 妻が不動産そのものを取得する方法もあります。
ただし、 家を取得できることと、 住宅ローンを一人で返済できることは別です。
住宅を所有すると、 住宅ローン以外にも支出があります。
こども家庭庁の調査では、 母子世帯の母本人の平均年間就労収入は236万円でした。
もちろん収入は家庭ごとに大きく異なります。 ただ、 離婚後に一人で住居費と子育て費用を担う可能性を考えるなら、 家を残すことだけを目的にするのではなく 月々の負担を具体的に出すことが大切です。
住宅ローン返済計画を「養育費が入る前提」だけで組まない
離婚後の家計を考えるとき、 養育費は子どもの生活を支える重要なお金です。
一方、 令和3年度全国ひとり親世帯等調査では、 離婚した父親から養育費を現在も受けている母子世帯は28.1%、 養育費を受けたことがない世帯は56.9%でした。
この統計は、 「養育費を当てにしてはいけない」という意味ではありません。
養育費はきちんと取り決めることが重要です。 こども家庭庁も、 金額や支払期間、支払方法等を決め、 書面に残すことを案内しています。
「この家を残したい」と決める前に、今いくらなのか査定する
家を売却しない予定でも、 現在の不動産価値を確認しておく意味があります。
なぜなら、 財産分与を考えるうえでも、 住宅ローンとのバランスを見るうえでも、 現在価値が一つの基準になるからです。
購入時に4,000万円だった家が、 現在も4,000万円とは限りません。
マンションなら、 同一マンションの成約事例、 専有面積、 階数、 向き、 管理状態などを確認します。
戸建てなら、 土地面積、 接道、 建物状態、 築年数、 周辺取引などを確認します。
家の価値と住宅ローン残高を並べると、選択肢が見えやすくなる
- 住宅ローン残高
- 売却に必要となる費用
= 売却後に残る資金の目安
売却すればローンを完済できる場合
家を売却し、 住宅ローンを返済しても資金が残る可能性があるなら、 「家を残す場合」と 「売却して新しい生活を始める場合」を 金額で比較できます。
売却してもローンが残る場合
売却価格より住宅ローン残高の方が多い オーバーローンの場合は、 不足額を自己資金等で補えるかを確認します。
不足を補えないうえ、 今後の返済も難しい場合には、 金融機関へ相談し、 任意売却を含む方法を検討するケースがあります。
夫婦共有名義なら「妻の持分だけ」で家全体を決められない
夫婦共有名義の場合は、 さらに確認事項が増えます。
不動産全体を通常の方法で第三者へ売却する場合、 共有者双方の売却意思を揃えることが基本です。
「自分も半分持っているから、 自分だけで家全体を売れる」 ということではありません。
また、 登記上の共有持分と 住宅ローンの負担割合が 必ず同じとも限りません。
共有名義の場合は、 登記事項証明書と住宅ローン契約書類を 別々に確認してください。
共有名義を詳しく 離婚で夫婦共有名義の家・マンションを売却する方法 共有持分・売却同意・住宅ローン・ペアローンを解説しています。夫名義の家でも「妻には関係ない」とは限らない
家の登記が夫だけの名義になっている場合でも、 婚姻中に夫婦の協力によって形成された財産であれば、 財産分与の対象となり得ます。
法務省も、 婚姻中に夫の収入で土地建物を購入して夫単独名義になっていても、 妻が家事等を分担して夫を支えていた場合には、 実質的に夫婦の財産と考えられると案内しています。
一方で、 婚姻前から所有していた家、 相続した不動産、 親からの資金援助、 婚姻前の自己資金などがある場合は、 個別の確認が必要です。
2026年4月1日以降の離婚は5年
2026年4月1日以降に離婚した場合、 財産分与について家庭裁判所へ申し立てることができる期間は 離婚から5年です。
2026年3月31日以前の離婚については、 従来の2年が基準となります。
ただし、 「5年あるから家の問題は後回しでいい」 という意味ではありません。
「子どもの学校を変えたくない」だけで家を残しても大丈夫?
学校、 友人関係、 通学、 生活環境を変えたくないという希望は、 住まいを考える重要な要素です。
ただし、 子どもの環境を守るために家を残した結果、 毎月の住宅費が家計を圧迫してしまっては 長期間の生活が難しくなることも考えられます。
売却する場合でも、 必ず遠方へ転居するとは限りません。
売却後の手残りや家賃、 新しい住宅の購入費を確認し、 学区や生活圏を大きく変えずに済む方法も含めて 検討できます。
「家を残すか、子どもの環境を守るか」 の二択にする必要はありません。
家を残すか売るかは、離婚届を出す前に一度数字を確認する
家を最終的に売却するかどうかは、 離婚後に決めるケースもあります。
ただ、 離婚前に一度査定しておけば、 住宅ローン残高と現在価値を比較できます。
その結果、 今の家に住み続ける方法が現実的なのか、 売却した方が家計を整理しやすいのかを 判断する材料になります。
共有名義の場合は、 離婚後も共有状態を残すことで、 将来の売却時に元配偶者との協力が必要になる可能性があります。
売却時期に迷っている方へ 離婚前と離婚後、家はいつ売る? 離婚前売却・離婚後売却を名義とローンから比較しています。財産分与で妻が家を取得する場合は税金も確認する
家そのものを財産分与として妻へ移す場合には、 不動産登記だけでなく税務確認も必要です。
国税庁は、 土地や建物を財産分与として渡した場合、 渡した側には分与時の時価を基準とした 譲渡所得課税が行われると案内しています。
財産を受け取る側は通常、 贈与税はかからないとされていますが、 財産分与の額が事情に照らして多過ぎる場合などには 例外があります。
「住み続ける・売る」を決める前に7項目を並べてみる
| 確認項目 | 住み続ける場合 | 売却する場合 |
|---|---|---|
| 現在価値 | 財産分与・資産価値の把握に必要 | 売出価格・売却方法の判断材料 |
| 住宅ローン | 返済継続・名義変更等を確認 | 完済可能か確認 |
| 毎月の住居費 | ローン・税金・管理費等 | 転居後の家賃・ローン等 |
| 所有名義 | 誰が所有し続けるか | 誰の同意が必要か |
| 子どもの生活 | 現環境を維持しやすい | 近隣住み替え等も比較 |
| 将来の売却 | 将来誰が売却判断できるか | 現在の段階で権利関係を整理しやすい |
| 家計への余裕 | 維持費まで含めて確認 | 手残りと転居後住居費を比較 |
「家を売りたい」ではなく
「家を残せるか知りたい」という相談でも大丈夫です
まだ売却すると決めていなくても、 現在の不動産価値・住宅ローン残高・名義関係を 整理するところからご相談いただけます。
家を残したい女性が最初にすることは「売却の決断」ではありません
子どものために今の家を残したい。
その気持ちがあっても、 最初から売却する必要はありません。
反対に、 「絶対にこの家を残す」と決めてから 住宅ローンや家計を確認する必要もありません。
まず確認するのは、 家の現在価値です。
次に住宅ローン残高。
そして所有名義、 ローン契約、 毎月の維持費を確認します。
その数字が分かれば、 「住み続ける」 「妻が取得する」 「一定期間だけ住む」 「売却して近くへ住み替える」 といった方法を比較できます。
家をどうするかは、 離婚後の生活を大きく左右する判断です。
だからこそ、 感情だけでも、 査定額だけでも決めず、 数字と契約関係を一つずつ確認してください。
村上諒恭の離婚・不動産総合ブログ 大阪市で離婚すると家はどうする? 住宅ローン・財産分与・共有名義など10の疑問を詳しく解説しています。離婚後も家に住み続けたい女性のためのFAQ
夫名義の家に離婚後も妻と子どもが住み続けられますか?
夫名義の住宅ローンを妻名義へ変更できますか?
妻が家を財産分与でもらえば住宅ローンも引き継げますか?
子どもの学校を変えたくないので家を売らない方がよいですか?
養育費を住宅ローン返済に充てる前提で考えてよいですか?
夫だけの名義の家でも妻の財産分与に関係しますか?
共有名義の家を妻だけの判断で売却できますか?
家を売ったら住宅ローンが残りそうな場合はどうすればよいですか?
離婚前でも家の査定だけ依頼できますか?
家を残すか売るか、TSUBASAエステートへ相談できますか?
本記事で確認した公的資料
こども家庭庁「全国ひとり親世帯等調査」
母子世帯の就業・収入・住居・養育費等の統計。
法務省「りこんポータル|離婚を考えている方へ」
財産分与の対象、単独名義財産、請求期間等。
住宅金融支援機構「返済途中で住宅を他人に譲り渡すとき」
離婚等に伴う住宅譲渡・債務承継に関する案内。
国税庁「No.3114 離婚して土地建物などを渡したとき」
財産分与として不動産を渡した場合の譲渡所得。
国税庁「No.4414 離婚して財産をもらったとき」
財産分与を受けた場合の贈与税の考え方。
本記事は一般的な不動産売買・制度情報を整理したものです。 個別の財産分与、住宅ローン契約変更、登記、税務、 養育費等については、 必要に応じて弁護士・司法書士・税理士・金融機関等へ ご確認ください。
子どもと今の家に住み続けられるか
まず家の価値から確認できます
売るか決めていない段階でも大丈夫です。
「売却したらいくら残る?」
「このローンを一人で維持できる?」
と考えるための数字を整理します。

TSUBASAの特徴
当社の3つの特徴

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